本田 和範|職員インタビュー|郡山地方広域消防組合

本田 和範

Kazunori Honda
郡山消防署日和田分署【救急救命士】

努力と工夫を重ね
一つでも多くの命を救いたい。

キャリアの8割は救急

平成7年に入署、消防、救急、救助、指令と、ひととおり経験しましたが、キャリアの8割は救急です。救急隊の業務は、命が危険な状態にある人のところへ駆けつけ、けがや病気の処置をしながら医療機関へ搬送することで、救急救命士は点滴などの特定の処置をすることができます。 現在は、日和田分署で救急業務などに従事しながら、[予防救急プロジェクトチーム]の統括リーダーを務めています。
予防救急とは、一人でも多くの方を救命するため、病気、けがの予防や救急車の適正な利用を呼びかける活動です。まだ動きはじめたばかりのプロジェクトですが、これからも知恵を絞って、根気よく取り組んでいきたいと考えています。

消防隊の活動に感動したのがきっかけ

若い頃、趣味でパラグライダーをやっていました。あるとき、山の中へ墜落し、命に別状はなかったのですが、けがをして動けなくなったのです。消防・救急・救助隊のお世話になり、けがで動けない人間ひとりを山の中から運び出すのに、どれほどの力と技と手間が必要かを知りました。ご迷惑をかけた当人が言うのもヘンですが、すばらしい仕事だと、感動したのです。それが、消防士を志したきっかけです。

忘れられない「ありがとう」

旅行中の家族が乗った車の交通事故現場に出動したことがありました。大けがをした夫婦を病院に搬送し、幸いにも2人とも一命を取りとめ、意識が戻りました。医師への引き継ぎを終え、次の救急要請に備えて消防署へ戻ろうとした時に、まだ幼いお子さんに「ありがとう」と言われたのです。自分の子供と重なって、不覚にもウルッとしました。その笑顔を今でも鮮明に覚えていて、仕事の支えになっています。

変化する災害への対応に、挑戦し続ける

「当たり前のことを大切に」がモットーです。たとえば車両や装備品の点検は、毎日繰り返される仕事で、異常の有無を確認して、常に万全の状態で備えておくことが当たり前です。わずかな異常でも、見逃せば取り返しのつかない事故につながりかねません。知識や技術を身につけることも重要ですが、「当たり前のことを当たり前にやる」ということも同じくらい重要だと考えています。
現場では、「あせらない、あわてない」ことを心掛けています。現場は千差万別で、訓練通りにいかないのが常です。迷ったときも、あせらず、あわてず、考えるようにしています。一刻を争うとき、とどまるには勇気が必要です。しかし、命を預かっているのですから、間違った判断は許されません。
時代とともに、災害のかたちも変わっていきます。これまで通りのやり方では対応が難しい状況も出てくるでしょう。この仕事は、要請に応えて行動するという意味では受け身ですが、災害の変化に対応できるよう、変革への挑戦を怠ってはならないと思います。

“オールマイティー”を極めたい

救急のキャリアが長いですが、消火活動や立入検査を行うこともあるので、何でもこなせなくてはなりません。救急を中心に、“オールマイティー”な消防士として、さらに高みを目指したいと思っています。
東日本大震災を経験して、誰もが安全・安心な暮らしへの願いを強めたと思います。
また、消防・防災の重要性を、改めて認識させられる災害でした。反面、消防は「ラクな仕事ではないな。自分がやるとなると…」と思われた人も少なくないと思います。 たしかに、ラクな仕事ではありませんが、地域の人々の安全・安心な暮らしを支える、間違いなくやり甲斐のある仕事です。1人でも多くの方が、消防士を目指してくださることを願っています。