工藤 裕美|職員インタビュー|郡山地方広域消防組合

工藤 裕美

Yumi Kudoh
消防本部・予防課査察調査係

“犠牲者をゼロにしたい”という強い思いが、
何より必要なことだと思います。

“火災ゼロ”を目指しています

平成13年に入署。現在は予防課査察調査係に配置されて5年目になります。その前は、郡山消防署で消防車を運転していて、火災現場でも何度も活動しました。
査察調査係の仕事は、大きく分けて2つあります。
ひとつは査察。火災予防のための立入検査です。店舗、病院、危険物を取り扱う施設などに立ち入って、「通路に避難の妨げになるものがないか?」、「消火器が適切に配置されているか?」、「屋内消火栓のホースに不具合がないか?」、「スプリンクラーが正常に作動するか?」など、消防法の遵守状況をチェックし、不備があれば改善をお願いしています。
もうひとつは火災になった原因の調査と分析です。「なぜ火災が起きたのか」を究明し、原因を突き止めることが、類似火災を予防するためには重要で、焼け跡などから、出火した場所や原因を専門的な知識と技術で究明します。また、特定した原因とその傾向の調査し、火災予防の対策を立てたりします。

父の背中を見て、消防士になりたいと思いました

私の父は消防士で、家に居ないことが多かったし、たまに遊んでくれていても、突然、あわただしく出掛けてしまったり…。幼い頃は父の仕事が嫌いでした。小学生になった頃から、人の役に立つ仕事であることが理解できるようになり、自分も消防士になりたいと…。
でも、当時、郡山消防本部に女性の消防士はいなかったので、漠然と看護師や自衛隊員になることを考えていました。ところが、就職を考え始めたころに、郡山消防本部にも女性消防士が誕生したのです。それを知ったことが大きかったですね。「私も!」と必死で勉強して試験を受けたら、合格することができて、郡山消防本部で2人目の女性消防士になることができました。同じ消防士になったことを父は喜んでくれました。ただ、当時は男性社会だし、危険が伴う仕事だし、不安もあったようですが、顔には出しませんでしたね。

時に寄り添い、時に厳しく

火災や救助現場で目にしたすべてが忘れられません。災害で残念ながら亡くなってしまった、その1人ひとりの姿が、脳裏に焼き付いています。そういう人を1人でも減らしたい、ゼロにしたい…。火災が起きてからでは遅いのです。数多くの現場を見てきたからこそ、そういった現場をなくすため、強い思いで査察にも取り組んでいます。十分な知識はもちろんですが、犠牲者をゼロにしたいという強い思いが、何より必要なことだと思います。
査察では、必要な設備が設置されていなかった場合などには、改善してもらえるように指導しますが、見直しをしていただけないときには、警告や命令などの厳しい対応をします。 絶対に間違った指導はできません。常に法令を勉強しておくことと、査察する建物の関係者に寄り添った言動を心掛けています。

“悩み”を成長の糧に

最初の頃は、女性の先輩が1人いるといっても、所属している隊が違いますし、周りは男性ばかり。悩みを抱えたり、もがいたりした時期もありました。
でも、悩みは、「女性だから」、「私だから」ではなくて、誰もが大なり小なり抱えていますよね。私の場合は、性格的に「流す」のが得意で、克服するというより、寝て起きたらケロッとしてることもありますが。(笑)仕事を通じて色んな方とお話するなかで、人は悩みを克服しながら、そのつど成長していくことを学んできました。

出産・育児をしながら活躍できます

一般に、消防と聞いてイメージされるのは、火災や事故現場で男性が活動している姿だと思います。もちろんそれも消防の姿の一つですが、私が取り組んでいる「予防」も、一般の方からは見えにくいですが、火災を未然に防ぐための、消防の大切な仕事の一つであり、女性が活躍できる場所だと思います。そのほかには、救急現場での女性の傷病者への対応でも、同性だからこそ与えられる安心感があるなど、消防には女性が活躍できる場所が多くあると感じています。
女性の消防士も徐々に増えてきています。私には3人の子供がいます。郡山地方広域消防組合は、女性が出産・育児をしながら活躍できる環境が整っている職場です。女性の仲間が増えることを、切に期待しています。