火災から命を守るため~東京都新宿区の雑居ビル火災から20年~
火災から命を守るため~東京都新宿区の雑居ビル火災から20年~
多数の死者が発生した要因として、避難通路となる階段に物が置かれていたことでスムーズな避難ができなかったことや、防火戸が正常に閉鎖しなかったことで建物全体に煙が一気に充満した可能性があることなどがあげられています。
このような不特定多数が利用する建物で火災が発生すると、建物の間取りや構造について不案内な方が多く利用している場合が多いことから、火災予防上の不備によって、被害をさらに拡大してしまいます。
この機会に、改めて不特定多数が利用する建物での火災で命を守るために必要なことを紹介します。
不特定多数が利用する建物・・・病院、老人ホーム、その他の福祉施設、映画館、劇場、飲食店、物販店、旅館、ホテルなど
なお、この火災を受けて消防法が改正され、消防機関における違反是正のための体制が強化されました。
これにより立入検査は事前通告なしに夜間であっても実施できるようになり、また火災予防上危険であると認めた場合は、その場で行政処分としての命令を行うことなどが可能となりました。
立入検査とは、消防法第4条及び第16の5に基づき、建物(防火対象物)や危険物施設に対して建物や消防用設備等のハード面、また防火管理に関するソフト面等が消防法等の基準に適合しているか否かを検査するものです。建物の使用状況や、消防への書類の届出がなされているか、また書類が保管されているか等を検査し、消防用設備や避難口、避難通路等の管理状況を確認します。
立入検査へのご協力のお願い
立入検査の実績(令和2年度)
郡山地方広域消防組合管内では令和2年度の1年間、2,336件の立入検査を実施し、576件(24.7%)の建物で何らかの違反がありました。
そのうち避難通路等への物の放置等の違反は60件、防火管理者の未選任に関する違反は212件ありました。
違反のあった建物に対しては、再度立入検査を実施するほか、電話などにより指導を繰り返し行い、違反是正を徹底して行っています。
建物を利用する方へ
外出先の建物は、住み慣れた我が家や職場と違い、間取りや階段、出入り口の位置などがすぐにイメージできないことが多いため、素早く安全に避難することが難しい場合があります。
消防法などでは、一定規模以上の建物に対して、火災の発生と発生後の被害を最小限とするためのハード、ソフト両面の措置がなされています。これらを事前に知ることで確実に避難し命を守りましょう。
火災を知ったらすぐに避難行動を
一定規模以上の建物では消防法に基づき、自動火災報知設備などの警報器が設置してあります。
外出先の建物内にいる時に、火災を知らせる警報音が聞こえた場合は、すぐに避難行動を始めましょう。人は危険な状況におかれてもそれを過小評価してしまい、「自分だけは大丈夫」と思ってしまう心理が働いてしまいます。そのような心理状態に誰しもが陥ってしまうものだということを前提にして、とっさの避難行動がとれるよう日頃からイメージしておきましょう。
大きな建物であっても煙はあっという間に建物に充満してしまいます。煙は水平方向へは「人が歩くくらいの速さ」で広がっていきますが、垂直方向へは「人が走るより速く」広がっていきますので、出火階と違う場所にいる場合でも速やかに避難しましょう。
避難口と誘導灯を確認
外出先の建物では、とっさにどの方向に逃げればよいか判断が付かない場合があります。建物の職員や従業員が避難誘導をしている場合は、その指示に従った方向に速やかに避難してください。
避難誘導がない場合は、近くの避難口までの経路を表示している誘導標識や誘導灯を探して、その矢印の方向に速やかに避難してください。停電になった場合でも一定時間は蓄電池や蓄光機能により転倒したり光っていますので、焦らずに行動しましょう。
特に、ホテルや旅館に宿泊する場合は、到着後にまずは避難口や誘導灯などを確認する習慣をつけておきましょう。また、避難器具がある場合は、前もって使用方法を確認しておきましょう。
煙を吸わない
避難する際は煙を吸わないように、口元をタオルやハンカチ、なければ服の袖などでおおって、なるべく低い姿勢で行動してください。火災の煙は一酸化炭素などの有害な物質を多く含んでいるため、煙を吸ってしまうと意識がなくなり逃げ遅れにつながってしまいます。
煙で視界が悪い場合は、誘導標識や誘導灯を頼りに、足元に注意しながら壁伝いに避難しましょう。
利用する建物に消防法の違反がないか確認
郡山地方広域消防組合では、不特定多数が利用する建物において火災予防上の重大な違反がある場合や、違反是正の命令を受けている場合、ウェブサイトで建物名を公表しています。また、火災予防上の命令を受けている建物の入り口付近には、そのことが分かる標識を掲示しています。
これは建物の利用者自らが、その建物の危険性に関する情報を入手して、利用について判断ができるようにするものです。
火災予防上の命令を受けている対象物一覧
重大な違反対象物一覧
建物を管理する方・働く方へ
不特定多数が利用する建物で火災が起きた際の被害を最小限とするためには、消防法等に則った日頃からの備えが重要です。過去の火災事例をみると、消防法等に基づく火災予防上の不備によって火災が発生したり、被害が拡大してしまった事例が数多くあります。
火災による被害を最小限とするために必要な業務を「防火管理」と言います、「防火管理」の基本原則は「自分たちの職場は自分たちで守る」です。建物の所有者や管理者はもちろんのこと、そこで働くすべての人が防火管理の重要性を認識することが必要です。
避難通路に物がないか確認
過去の火災事例では、避難通路に放置されていた物が避難の妨げになったり、防火戸や防火シャッターの閉鎖を妨げ、煙や炎が一気に建物内に広まったことで被害が大きくなった事例が数多くあります。また、物を放置しておくことで、放火の可能性もあるため大変危険です。物が放置されているその瞬間からすでに、その建物で働く人のほか、利用者を含め多くの命を危険にさらしてると言えます。
消防用設備等の位置や使い方を確認
消防法に基づき設置してある消火器や屋内消火栓設備などの消防用設備の位置と使い方は、避難訓練や社内研修等の機会を捉えて、万が一の際に使用できるように確認しましょう。
また、建築基準法等により設置してある防火戸や排煙設備の位置や使い方も併せて確認しましょう。
テナント等が変わる際の届出を確認
建物のテナントが変わる場合、または改装する場合の間取りやレイアウト変更等が消防法等に抵触する可能性があります。設置する消防用設備、必要な避難通路の幅などが変更になったり、新たに届出が必要な場合がありますので、事前に消防機関に相談の上で行うようにお願いします。
またテナントの責任者が変わった場合は、防火管理者を新たに選任しその届出をする必要がある場合もあります。防火管理者は一定の講習などを受講する必要がある場合がありますので、計画的に受講し確実に届出を行いましょう。
ご不明な点は、最寄りの消防署・各分署等にお問い合わせください。
防火管理講習
各種届出
各消防署・分署の連絡先
注意喚起の情報発信
郡山地方広域消防組合では、ウェブサイトやSNSなどで、過去の火災に関する統計や、火災再現実験の映像などを公開しています。
火災統計
公式facebook
公式YouTube
お問い合わせ
消防本部 予防課
〒963-8877 郡山市堂前町5番16号
TEL:024-923-8172
FAX:024-921-8777
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